印鑑の世界

対象はそんなふうであるから、価値観の多様化と言われるのは当たり前である。 だが、構想者にとっては「価値観が多様化している」では済まない。
取り組む主題に応じてそれに関わる価値観の多様化の実態を突き止めなければならないからである。 では改めて価値観とは何か。
次のようにも想定できる。 〔規定〕価値観とは、ある主体が、ある対象に対して持っている、善悪、美醜、有益無益等の評価基準である。
これが実践的な規定である。 当たり前のようだが重要だから、さらに説明を加えよう。

職場の日常活動でも、特定のプロジェクト活動でも、相手の考え方、自分の見方等を明瞭に捉える必要があるのに、現実には、ひどく暖昧になっている。 このことが、問題分析や企画立案のときの阻害要因になっているケ−スは多い。
この考え方、見方の相当部分は、主として「価値観問題」として理解するとよい。 特に、ものの考え方や複雑な情報の整理をする必要がある場合や、体質改善や、反対の強い場合には右記した規定に則した分析方法をものにしておくことをお勧めする。
また、価値観には、今述べたように必ず対象がある。 その対象はまた、有形のものと無形のものに分かれる。
そして、評価は、何についてのものであるかがはっきりしない限り暖昧になる。 つまり対象が明確にされない限り、価値観は特定できないものであると言ってよい。
さらに、価値観は、必ず主体の存在を条件とするものである。 主体を明確にしない限り、価値観を明らかにしたとは言えない。
次に、ある「主体」が、「対象」を評価、判断する基準だが、必要性の有無に対する基準善悪に対する基準美醜に対する基準などさまざまである。 これらの基準は問題の性格の必要上、あるいは行動の必要上、生じてくる各種判断の基準であると考えられる。
通常、価値観の多様化というとき、以上のような「何にとっての」という主体の部分、および「何についてか」という対象の部分がはっきりしない場合が多い。 したがって、価値観に関する意見が暖昧になり、「価値観の多様化」と言って片付けてしまうのである。
では、次のことを整理してください。 主体、対象、価値基準を整理してください。
この課題は読者にとってやさしかったかもしれない。 だが念のために、整理しておこう。
消費者の場合二十代、三十代のような世代別。 東京圏、中部圏のような地域別。

健康者、不健康者、病人のような状態別。 三千万円以上、二千万円以上のような所得別・。
会社員の場合技術者、人事担当者のような業務別。 経営者、管理者のような機能別。
五年、十年のような勤務経過期間別。 二十代、三十代のような年齢別。
会社の場合会社全体、経営者、管理職、社員。 企業文化、システム、技術。
消費者の場合特定の購買行動、ライフスタイルのパターン、旅行。 価値基準対象が持っているか、または持つべき基準。
例えば、行動の仕方の基準、趣味の内容となる基準・・・・・・。 さて、問題は、価値観を表現するときに、これらの三つをどう組み合わせるかである(なお、分析の狙いに応じ、主体と対象は入れ替わる。
例えば会社が主体となり、消費者が対象になる)。 この組み合わせる力は、後述する構造に関する図や表をつくる力と関係してくる。

そこで課題。 問題が広範囲にわたるから、この課題は経営企画室や、人事、営業などの担当者のグループと一緒に議論するとよいと思う。
ユーザーの自社に対する価値観を明らかにしてください。 日常議論されているような問題点に対する議論を先にやるのではない。
また、特定のユーザーを議論するのではない。 ステップを踏んで進める。
まず、表をつくる。 すなわち、主体や対象や価値観の項目を関連づける。
次にそれぞれを分析し、明快にする。 この種の分析では、次のステップを取る。
1.構成要素を明らかにするまず価値観とは主体、対象、基準で成り立っているという前提のもとに、主体、対象、基準というそれぞれの構成要素を明らかにすることである。 2.主体を明確にする例えば、この課題の場合、主体は消費者であるからこの消費者を年収によって三千万円以上の消費者、二千万円以上の消費者、一千万円以上、五百万円以上というように分類することができるし、表のように世代別に分けて明確化することもできる。

狙いに応じて主体の明確化の方式は変わってくる。 3. 対象を明確にするこの場合の対象は、自分の会社である。
ここでは対象の中に、社員と商品も含めて考えていくこととする。 4.基準を明確にするこの場合の基準となるものには、例えば、自分の会社は消費者から見ていい会社か悪い会社か、会社の方針はどうか、知名度があるかどうか、将来性はどうか等々という要素もあるだろうし、あるいはもっと厳密に、資本の蓄積度などということも一つの基準であると考えてよいだろう。
あるいはまた、これからの会社というもののあり方を考えるなら、その会社の社会性とか文化性という要素を、基準の中に含めるのもよいだろう。 あるいは対象を商品であるとするならば、それに対する基準は品質、イメージ、信頼性という要素のほか、形であるとか、価格、品種、アフターケア等々といったものも考えられるだろう。
5. また、対象を社員であるとするならば、それに対する基準としては、例えばマナーがよいか悪いか、業務知識、商品知識が身についているかどうか等々の要素が考えられる。 6.以上から主体となるものが、対象を、各基準に照らして評価していく一貫性ある表をつくる主体となるものは、この場合、消費者であるから、先の区分に従って消費者を年収で区分けし、それを縦の欄にとり、横に対象とその対象の価値観を考える上での基準となる事項を各対象別に整理しておく。
7. ところで、この各空欄にはそれぞれ評価をOとか×で記入していくわけだが、この記入に当たっては、どういう狙いでこの評価を行うかが明確にされていることが最も重要な点となる。 例えば、その狙いは、消費者の価値観は以前と変わったか、変わっていないかといった形で、通常、設定される。
この分析は、全体をよく把握したり、問題点を抽出するのに、使いやすい。 空欄を大きくとり、文を書き込むのもよい。
ここから、さらに特定事項について価値観の分析を続げたり、あるいは、直ちに対策を講ずるのである。 さて、あなたなら次の事項についてどう分析するか、今述べてきた要領でまとめてほしい。
職場の価値観を分析してください。 若年者のものの見方を明らかにしてください。
OO商品の開発についての社内の見方について分析してください。 ところで価値観の問題で、われわれに最も大切なものは、わが社の価値観の解明である。

これは今まで、さまざまな角度から検討され、また実践の中で明らかになっている場合が多い。 それを改めて見直す場合は、まず望ましい会社はどういう会社だろうか、というように一般論から入るのがよい。
特にグループで討議すると、自分の気づかない要素が出てくるものである。 望ましい会社の億を確立する今後の企業の環境は、近来の激しい変化よりもっと激しく変わるものと思う。
この環境の変化とは単に外的環境だけでなく、各種システムの老朽化とか従業員の発想の転換などの内部環境の変化を含む。

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